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香港中楽団

香港中楽団は 1977 年に設立され、かねてより「民族音楽の俊秀」及び「香港文化大使」の美称がある。楽団はしばしば国際的に著名な音楽ホールや芸術祭に招待され、その公演の足跡は欧州、米州、アジア、豪州、北極圈など多くの国家及び地域に広がり、当代の国際舞台において指導的地位を有する大型中国音楽オーケストラである。楽団の編成は擦弦および撥弦楽器 *1、管楽器、打楽器の四種類に分けられ、その中には伝統楽器と新たな改造を加えた多種類の楽器が含まれている。楽団の擦弦楽器声部は 2009 年に楽団が研究開発したエコ胡琴シリーズを全面的に使用している。演奏の形式と内容には、伝統民族音楽と近代の大型作品が含まれる。楽団はさらに各種のスタイルやジャンルの新作を広く委託創作しており、現在に到るまで作曲あるいは編曲を委託した作品は 2,400 曲にのぼる。


楽団は定期的なコンサートと芸術教育活動を行うほか、一般大衆と共に音楽を享受する精神に基づき、「香港国際青年中国音楽祭」及び多くの器楽フェスティバルを開催し、香港市民の協力を得て、同時に演奏する人数の多さを競うギネス世界記録を更新した。楽団が 2003 年から開始した香港鼓楽祭はすでに 19 年連続で開催されており、人々の期待を集める年に一度の人気文化イベントとなっている。2020 年には、香港考試及び評核局 *2 と共同主催による「国際中国鼓楽検定試験」を実施した。


楽団はこれまで一貫して中国音楽の伝承と発展に尽力し、関連するテーマのシンポジウムやコンクールを主催している。ルクセンブルク音楽協会と共同で「2013 年国際作曲コンクール」および 2017 年の「中国音楽に国境なし ─ 国際作曲コンクール」などを開催し、作曲家に作品発表と交流のためのプラットホームを提供している。また、2011 年に世界初の国際中国音楽指揮コンクールを創設したことは、中国音楽発展史における里程標となり、現在に到るまで計三回実施されている。楽団はまた、2011 年と 2022 年に「中国音楽指揮国際シンポジウム」を開催し、多くの地域の専門家、研究者及びオーケストラ指揮者をフォーラムに招待している。


楽団はまたデジタル化とクラウドコンピューティングを通じて音楽ファンとの相互交流を積極的に進め、地域と空間の制限を乗り越えて、音楽による市民と連帯を図っている。2020 年に最初の「中国音楽ネットフェスティバル」を開催し、さらに 2021 年には全世界初の中国音楽の「ネットコンサートホール」を公開した。このほか、閲覧数一千万ビューを超える MV シリーズを制作、また公演シーズンに先駆けてパンフレットに AR技術を応用し、今後の芸術・生活・科学技術のインタラクティブな方向性を具体的に実現している。


香港中楽団は芸術、ガバナンス管理、芸術教育、市場プロモーションにおいて各界からいずれも高い評価を得て、多くの栄誉に浴している。楽団が研究制作したエコ胡琴シリーズは国家の「第四回文化部イノベーション賞」(2012)を受賞しただけでなく、環境保護への貢献と独創性によって多くの機関団体から表彰され、その成果は何度も記録を更新している。


*1 擦弦は弓でひく、撥弦は指ではじく楽器。

*2 Hong Kong Examinations and Assessment Authority、香港特別行政区の各種資格および能力認定機関。